
熊本県北部、福岡県との県境に位置する南関町。
かつて豊前街道の宿場町として栄えたこの地に、江戸時代の面影を残す「豊前街道南関御茶屋跡」がある。
嘉永5年(1852年)に完成した南関御茶屋は、藩主らが参勤交代や領内巡視の際に休憩・宿泊した施設。
肥後国内では最後の休憩・宿泊地点として利用されていた。
現在も主要な建物が一棟残り、熊本県内で唯一現存する御茶屋関連の建物として、2003年に国の史跡に指定された。
南北に長く延びる建物には、御居間、御次の間、三の間が配され、鬼瓦や釘隠しには細川家の九曜紋が残る。
当時の建築や細部の意匠からも、藩主ゆかりの施設であったことがうかがえる。
建物とともに見どころとなるのが、「心」の文字をかたどった池を配した庭園。
落ち着いた佇まいの建物と緑豊かな庭が、穏やかな風景をつくり出している。
館内では紹介映像を通して施設の歴史を知ることもできる。
訪れた際には抹茶のおもてなしもあり、歴史に思いを馳せながら、心に残る時間となった。
かつての旅人がひと息ついた場所で、今もゆっくりと時が流れている。
南関の歴史と、受け継がれてきた建物の魅力に触れられる貴重な史跡だ。






